聴覚過敏のこと
頭痛のパターンはお決まりで、
何かの原因で冷える→頭痛の出る側の鼻が詰まる・涙が出る・あくびが出る、あれ？風邪かな？→聴覚過敏酷くなる、あ、やばいねこれ→光過敏、あー、いかんわ→次第にズキズキしてくる→ズキズキガンガン→嘔吐撃沈
先月の台風の時はさらにそこからこじれて、肩こり首こり大後頭三叉神経痛のような症状になり、頭の後ろに焼け火箸を突っ込まれたような感覚で一週間苦しんだ。痛み止めも葛根湯も効かず、いたたまれなくなって、ステロイド剤を飲んで何とかした。
この、聴覚過敏のこと。
自分はオーオタだ。
今思えば聴覚過敏で歪んだ高音が許せない、いや、むしろ、自分が聴いて辛くなる音は実害があるから音質にこだわってたんだと思う。
何で聴覚過敏？(自分は自閉症ではない。)
原因は高校二年の夏休み前の音響外傷だと思う。
★20年も前のある夏、バンドをやっている友人からライブをやるからと招待されたので、友人とライブに行った。貸し切りのライブハウスで日曜の夕方4時間を借りて、20人ほどの友人が集まってのライブ。ライブハウスのスタッフは最初にちらっと見かけただけ、あとは完璧に放置。で、友人のバンドはユニコーンのコピーやらTHE BOOMのコピーやら手持ちのレパートリーを延々2時間くらい演奏したわけ。
その音量が、後にも先にも聴いたことないほどの大音量・・・自分と友人はPAスピーカーの前だった。
メンバーとライブハウスのスタッフが設定間違ってんじゃないのか？？ってぐらい、小さいライブハウスに意味不明の大音量・・・音が飽和して音楽もクソもあったもんじゃない。今思い返しても色々と腑に落ちない点が残っている。
大音響にさらされること数時間、ライブ終わったらなんか耳がきーんとして聞こえにくいね〜あはは〜、などと友人と言い合いながら帰宅。
翌朝月曜日、目が覚める。
え？？耳が聞こえない？？は？なにこれ？やべえじゃん・・・冷や汗出るがとにかく学校へ。
聞こえ方は30dBの耳栓した感じ。あらゆる音が小さくて遠い。
うわ、授業何も聞こえん！耳が壊れたわ、シャレにならん。あのクソ大音量のせいだ。
昼休みに後ろの席の友人に聞くと、友人も耳が聞こえないと。
なーんだ、仲間いるじゃん！自分だけじゃないし、難聴仲間ゲットだぜ！！落ち着け自分！なんくるないさ。
そもそも、音響外傷とかライブ難聴とか何にも知らない高校生、完全無知。ネットなんか無い時代なので何が起こったか知るすべも無い。
さて、それから１週間ほどまともに音が聞こえなかった。本気で授業も聞こえてなかった。だから、適当に自習してた。そろそろ親にカミングアウトして耳鼻科にでも行かなくちゃ流石にまずいんじゃないか、って悶々としてるうちにちょっとずつ回復した。友人も回復した。
その後、茶碗がぶつかる音なんかがやたらうるさく感じるようになった。社会人になってからは高音に過敏なせいで音質厨になった。三十路になると頭痛持ちになり、さらに厄介な聴覚過敏に悩まされるようになる。
★頭痛の予兆期の聴覚過敏は酷いもので、フラットなはずの音がものすごいハイ上がりなスカキンの音になる。2kHz-5kHzが文字通り神経に突き刺さる。皿がぶつかる音はおろか、家族の物音、蛍光灯のうなり、時計の秒針、些細な環境音の全てが突き刺さってくる。虫の声すら吐き気を催す。頭痛も軽く出てきているので鎮痛剤が効けば聴覚過敏も落ち着くことがある。
光が眩しくなるまで行ってしまうと頭痛発作は避けて通れない。そうなれば薬を飲んで、現状で最強のノイズキャンセルイヤホンと言われるBOSE QC20を使用して静寂を作り出し、布団を被って暗い部屋でひたすら眠るしか方法はない。
★予兆期の聴覚過敏を何とかして、頭痛発作を起こさないようにすることはできないものか。それで耳栓を思いついた。シリコン粘土耳栓なんか柔らかく使い勝手も良いが、眠るならともかく、日常生活には少々不便。
たまたま見つけたのがEarasersという高音だけ減衰させる耳栓。音響外傷予防のライブ難聴対策用耳栓らしい。
あの難聴事件のときには耳栓なんて発想はまるで無かった。あのときライブハウスにいた何人が音響外傷になっただろうか、今でも興味がある。
Earasersは2kHz以上の高音が減衰するように作られている。一番問題の4kHzで-19dB減衰する。もし90dBの音量のイベントに行っても4kHzは
71dBまで下がる。これなら何とかなる。Earasers musicians high fidelity earplugs hearing protection
とても小さい耳栓で外耳道の中に完全に挿入できるので他人にはまず見えない。
この高音を減衰させる能力は自分の頭痛予兆の聴覚過敏にはかなり効いた。日常生活に必要な音はほぼ普通に聞こえるが、耳に響く高音は聞こえない。ガスレンジの点火の火花のカチカチ音、圧力鍋のシューシュー言う音がかなりトーンダウンする。
耳の穴に隠れる耳栓なので、なんと、その耳栓の上からBOSEのイヤホンなら使えてしまう。高音がキンキン聞こえていたのがちゃんと低音寄りの音に聞こえる。
耳栓無しの周波数特性
earasersを使用したときの周波数特性
シリコン粘土耳栓の周波数特性
★さらに三十路を半ばも過ぎて、オーオタ、イヤホンヘッドホンの使いすぎ、偏頭痛持ち等々から、たまに小さな耳鳴りがするようになってきた。初め右耳に耳鳴りが出ることが多く、気がつくと利き耳が右から耳鳴りのない左に変わっていた。交通機関の騒音などもノイズキャンセルイヤホンや耳栓で抑え、音楽も聴かずひたすら耳を休めていたら数ヶ月間続いた耳鳴りが2週間程度で落ち着いてきた。今欲しいのはソフトシリコン製のカスタム耳栓かな。耳型を採ってオーダーメイドするやつ。
Westone TRU costom
