イタリアンレザーの魚腥臭と格闘する
読んで字のごとく、日本人は癖のある革の臭いは苦手と言われる。
事の発端は、現物を見て、その手触り、しなやかさ、重厚さに心奪われて大人買いしたイタリアンレザー
問題はその伝統的なオイルバケッタ製法による臭い。。。
植物タンニン鞣し、これは問題ない、これだけでは悪臭にはならない。
それを芯通しで染めて、牛脚油と魚油の混合物とともに大きな樽に入れてぐるぐる回しながら仕上げする製法
出来上がった革は経年変化も素晴らしくて、柔らかくてしなやかで、コバも1発で決まる高級革、、、本当に品質はバツグン
だが、しかし、
半端なく臭い・・・頭痛がするほど臭い・・・
その臭いは古くなった牛脂と古くなった魚油としか言いようが無い・・・
アクセサリーや靴やリュックなど体温で温まる用途だとその立ち上る臭気は自家中毒はおろか電車の隣席の人も攻撃するレベル
欧州のブランドがこぞって採用するような良い革なのに、マジかよ、と言いたくなる。
革としての品質は一級品、臭いはほぼほぼ悪臭・・・
ジップロックに革と重曹と米と入れて置いてもまるで効果無し。これには閉口した。
日本国内にもこの革でバングルを作っているメーカーがあるようだが、いやはやなかなかのチャレンジャーと思う。
酸化した油の悪臭の原因のひとつがトリメチルアミン
青魚を焼いた後のオーブンなどに染み付くあの臭い。。
原因はそれだけではないと思われるが、これにヒントを経て色々考えた。とにかくアミン類を中和してしまうのだ。
作品を使い始める前の処置として何が良いだろうか?日晒しでは色が変化してしまう。
トリメチルアミンの臭い抜きはためしてガッテンにもあった。
ミカンの皮、柑橘系の精油。酸性なのでトリメチルアミンを中和してくれると。
寿司屋の酢水や主婦のクエン酸なんかも同じ発想。たしか、革の臭い消しに酢水を使う猛者の話もあったような。。
それで家の中を見回すと、レモンオイルがあるじゃないですか。楽器の汚れ落とし用のもの。
問題のオイルバケッタレザーに浸透させてみる。。とにかく浸透性は良い。どんどん染み込む。表からも裏からも。
そして風通しの良い窓辺に吊す。
おや、レモンオイルをかけた瞬間から魚醒臭は消えたも!?
同じく魚醒臭に特効があるのがドクダミらしい。生薬としてそのような効果があるのは知っていたけれど、皮職人で革の臭い消しに使っている人がいるらしい。ほんまかいな!?
レモンオイルを乾かしたらいつものカルナバ蝋蜜蝋オレンジオイルで油分を補って様子を見る。
ちなみにカルナバ蝋蜜蝋オレンジオイルは時間が経つと革がモッチリもち肌になるのでお気に入り。
ちなみにカルナバ蝋蜜蝋オレンジオイルは栃木レザーの上品なタンニン鞣しの匂いも消し去ってしまうので、個人的にはちょっと残念。
イタリアンレザーはガンガン消臭されてくれて結構!笑